気功は中国の秀でた伝統文化の重要な構成部分で、中医学の治療と養生理論を含んでいます。儒教、道教、仏教などでの精神修養や、超越した文化理念の追求も含んでいます。また人と自然、人と社会の合一調和を説く中国古代哲学思想と融合し合っています。
老子は中国の春秋時代(紀元前770年-476年)の偉大な思想家、哲学家であり、道家の創始者です。著作「道徳経」は気功養生の理論を高度に高めました。
孔子(紀元前551年-479年)は中国古代の著名な思想家、教育家で、儒家の創始者です。孔子の多くの論説は儒家気功の養生理論を確立しました。
達磨はインドで生まれ、西暦526年中国に来て禅宗を伝授し、後に中国仏教禅宗の始祖とされています。達磨は気功養生の理論と功法に対し傑出した貢献を行っています。
気功の身体運動は自然にリラックスさせて行います。呼吸は、吸うと吐くを深く、細く、均等に、長くし、意念を運用して快適な心地にします。動作は簡単で、老若だれにでも適し、経済的で、身体の陰陽のバランスを促進し、経絡の流れをよくし、筋骨を丈夫にする等身体機能を全面的に改善します。
伝統気功は中国の養生文化史上で重要な地位を占めています。しかし人類の進歩、科学の発展に伴って、伝統気功は更に人類に健康と幸福をもたらす新しい形に進化して行くことが必要です。
現在、気功は主に健身気功と医療気功に分類されています。健身気功とは自身の形体活動(調身)、呼吸の吐納(調息)、心理調節(調心)の統合を主要な運動形式とした伝統体育項目です。
中国健身気功協会の専門家は優秀な伝統功法を基に、広く支持されている易筋経、五禽劇、六字訣、八段錦の4種の健身気功を創編しました。そして近代的医学、心理学、生理学、免疫学などの方面から科学的検証を進めて来ました。中国健身気功協会は引き続き新しい功法を出してまいります。
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健身気功4種の創編に関する専門学者の研究討論会 |
健身気功・易筋経
易筋経は中国の仏教禅宗の始祖達磨の創作であると云われています。筋骨の活動機能を高めることを目的とした健康法で、少林寺の僧侶により改編されて健身の為に用いられていました。
健身気功・易筋経は伝統易筋経十二式の優れた点を継承し、筋肉・骨格と関節の屈伸、ねじ曲げ、牽引、とりわけ脊柱を重視し、脊椎を回転屈伸して脊髄のコントロールと調節機能の強化に有益です。
健身気功・易筋経はその姿勢、意守部位、調息回数の変化など、様々な人の健身運動に適応しています。科学研究テストの結果、長期習練は心臓血管系統、呼吸系統、消化器系統の機能を改善し、平衡機能と柔軟性と筋肉力を高める効果があります。また焦りや鬱憤の度合いを下げることができ、中老年の人によくあるいくつかの疾病に対して回復作用があります。
健身気功・五禽戯
五禽戯は中国の後漢の名医の華佗(西暦紀元25年-220年)が、虎、鹿、熊、猿、鳥の活動の特徴を研究してまとめた生体工学に基づく健身気功法です。
華佗は麻沸散を発明し、西洋で麻酔が使用される1600年前に、麻酔を使用して腹部の切開手術を行っています。
五禽戯の伝統を継承した健身気功・五禽戯の精華は、虎の勇猛さ、鹿のゆったりさ、熊の慎重さ、猿の賢さ、鳥の軽快さをまねることに努めて、形と精神とを兼ね備え、意気を会い通じさせ、内外合一と三調合一を図り、健身効果を追求しています。
健身気功・五禽戯は美しく上品で、動作は悠然とし、運動量も程よいことを特徴として、人々の健身鍛錬に適応しています。
科学研究測定では、長期習練は生理機能、体力及び心理状態等全ての面で良い影響が出ています。習練者の心臓血管の機能、呼吸機能が改善し、関節の動きを良くし、体力と握力を増強し、心理健康レベルが高められます。
健身気功・六字訣
六字訣は中国南北朝の時代(西暦紀元420年-581年)の文献に記載されているのが最も古く、これは一種の呼吸の吐納を主な手段とした健身方法です。
健身気功・六字訣は伝統六字訣功法の特色を維持して、息を吐くと同時に発声することを重視し、科学的かつ合理的な動作導引を行い、内の臓腑の調整、外の筋骨養生と回復作用を鍛練します。
健身気功・六字訣は各字訣が統合されて一つになっていますが、各字訣は独立性を持ち、単独の習練も可能で、様々の人の健身鍛錬に適応しています。
科学研究測定では、長期習練により生理と心理の状態が改善する傾向にあり、人間関係と家庭関係において日々調和がとれて、特に中老年者のいくつかの慢性病に対して比較的有効とされています。
健身気功・八段錦
八段錦は中国の宋代(西暦紀元960年-1279年)以前に生まれ、明清朝(西暦紀元1368年-1911年)時代に次第に発展して完成されました。これは一種の身体運動を主とする健身方法です。
健身気功・八段錦は伝統八段錦功法の精髄を受け継いで、現代運動学と生理学の規則により、動作順序と運動強度の調整を行い、動作を通して、意念と呼吸の協調を図り、トレーニング効果を達成できる様にしました。
健身気功・八段錦は静動を兼ねて、自然にリラックスし、柔和で緩慢、円満に連なり、多様な人の健身鍛錬に適応しています。
科学研究測定では、長期の習練が呼吸系、神経系と循環系の機能を改善することに役立ち、細胞免疫の機能強化と老化を防ぐ能力、心理健康を改善し、そして下肢の力、関節の柔軟性と平衡能力を高めることが証明されています。
気功はある意味で、一つの調和の取れた学問です。理論上は、人体生命の全体を見ることを指導し、実践上は、三調合一を基準としています。中国伝統文化の知恵を具体化し、現代の養生学理念、現代人の健身養生の時代的流行に合致しています。
中国伝統医学養生の観点から
中国伝統医学では、人体は五臓、六腑、五体(筋、脈、肉、皮、骨)、顔にある7つの穴(両耳、両目、鼻、口)から構成されている一つの有機体であるとし、各器官は相互に協調し、相互に利用し合っているものとしています。
気功の健康養生の仕組みは調身、調息、調心により、陰陽平衡の規則に従い、臓腑の陰陽のバランスを保ち、気血の偏り盛衰を調整して、人体が健康な状態になるように促進します。
五行(五臓に対応する木、火、土、金、水の五行理論)を通して規律抑制しており、臓腑相互間におけるいかなるアンバランスも疾病あるいは衰弱を発生させます。経絡の流れを良くし、各臟腑を強化し、全身の上下・内外の疎通と精、気、血、唾液の充養を通して、人体の生命活動を一段と優れたものにします。
現代医学の観点から
現代医学の認識では、人体は神経・体液の自己調節システムを持っていて、完璧な方式で人体の恒常性を維持しています。健身気功の練功は、神経・体液システムの調節機能を改善増強することができ、人体の自然治癒能力を引き出し、病気を追い払い丈夫な体に鍛える効果があります。
調身は意念に導かれた全身の規律に則した運動で、中枢と抹消の複雑なフィードバック活動を通して、身体を最適な生理状態に維持します。
調息は呼吸方法を主導的に行い、呼吸周波数などは自律神経機能の作用に影響し、それによって間接的に人体の内臓機能に対して影響を与えることができます。
調心は入静前の前頭葉の神経活動を促進し、脳下垂体のβ―エンドルフィン内分泌を促進し、全身の至る所を通して、人体の自己調節機能を改善します。
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